大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 平成8年(わ)311号 判決 1996年12月25日

被告人

氏名

坂井清二

年齢

昭和三〇年二月二三日生

本籍

京都市東山区花見小路通古門前上る巽町四三〇番地

住居

不定

職業

土木作業員

検察官

白髭博文

弁護人

高田良爾

弁護人

三浦正毅

主文

被告人を懲役一年八月及び罰金五〇〇〇万円に処する。

未決勾留日数中二四〇日を右懲役刑に算入する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、部落解放同盟京都府連合会東三条支部(以下「解同東三条支部」という)及び部落解放同盟京都府企業連合会(以下「京企連」という)に所属して、同支部の副支部長及び京企連の東三条支部企業対策部長をしていたものであるが、京滋ヤクルト販売株式会社専務取締役古川義信の養母田中ツユが平成四年一一月一四日死亡したことにより、古川義信が同女の全財産を相続し、納税義務者として相続税の申告をするにあたり、解同東三条支部所属の井上悠(分離前相被告人)において古川義信から脱税仲介の依頼を受けて、「京企連通じて申告すれば、税金は半分位ですむ。」と請け負い、井上悠が被告人に対し「一〇億位の税対の話がきている。京企連を通じて四億位でやってくれ。」と取り継ぎ、被告人が承知して、古川義信、井上悠及び解同東三条支部所属の青木康らと順次共謀のうえ、古川義信の相続税を免れようと企て、同人の実際の相続財産の課税価格が一九億四五二三万一〇〇〇円で、これに対する相続税額は一一億四四八五万四七〇〇円であるにもかかわらず、相続財産の一部を除外したうえ、平成五年五月一四日、京都市左京区聖護院円頓美町一八番地の所轄左京税務署において、同税務署長に対し、古川義信の相続財産の課税価格が二億七一六九万二〇〇〇円で、これに対する相続税額が六〇一五万五八〇〇円ある旨の内容虚偽の相続税の申告書を提出し、もって、不正の行為により、古川義信の右相続にかかる正規の相続税額一一億四四八五万四七〇〇円との差額一〇億八四六九万八九〇〇円の相続税を免れたものである。

(証拠の目標)

( )の番号は、検察官請求の証拠等関係カード記載の証拠番号である。

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官調書(88~96)

一、井上悠(分離前相被告人)の当公判廷における供述(第二、四回公判)

一、青木康(分離前相被告人)の当公判廷における供述(第九、一〇回公判)

一、脱税額計算書(1)

一、相続税申告証明書(2)

一、捜査報告書(3)

一、査察官調査書(4~18)

一、竹内浩昭、北村光一、古川虎雄、田中友治、林正、竹内祥浩の検察官調書(19~39)

一、古川義信、井上悠、青木康、大野征二の検察官調書(59~69、71~78、80~87、98~105謄本)

(法令の適用)

判示所為 平成七年法律第九一号による改正前の刑法六五条一項、六〇条、相続税法六八条一項

刑種の選択 懲役刑と罰金刑を併科(相続税法六八条二項適用)

宣告刑 懲役一年八月及び罰金五〇〇〇万円(求刑・懲役三年及び罰金七〇〇〇万円)

未決勾留日数の算入 平成七年法律第九一号による改正前の刑法二一条

労役場留置 平成七年法律第九一号による改正前の刑法一八条

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 藤田清臣)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例